「流れ着く海藻について」

海水温が温かくなり始める春から初夏にかけて、西風や南風が強く吹いた翌日に海藻が浜に多く打ち上げられます。

打ち上げられた海藻は太陽光に照らされて、磯の香りを発します。この匂いが苦手な方もいるのではないでしょうか?

しかし打ち上がった海藻は、フナムシやトビムシの仲間など浜に棲む生き物の貴重な餌であり、砂の中のバクテリアも餌として利用しています(分解)。海藻のほとんどが1年生で、季節に合わせて出現して脱落していきます。そのため、砂浜に海藻がたくさん打ち上がっていることは、自然のサイクルの中で重要なことなのです。

 近年「海藻が減った」「磯焼け」という言葉を聞く機会が増えました。海藻が減ってしまうと、そこに生息する生物や、海藻に卵を産む生物など利用する場所が無くなってしまいます。また、砂浜に流れ着く海藻が減り、フナムシなどの餌も無くなってしまいます。生産する海藻、海藻を捕食する生物とのバランスが大切ですが、そのバランスが崩れつつあります。

今一度、ピンポイントな海藻をキーワードに、自然の循環やバランスについて見直すきっかけとして欲しいです。森からでる栄養豊かな水とそれを運ぶ川、最後に行きつく海、それらを鑑みて利用する人間とバランスをどのように保つことができるか考えましょう。